Web制作系ディベロッパーのキャリアとインポスター症候群

Web制作系ディベロッパーのキャリアとインポスター症候群

Web制作系ディベロッパーのキャリア

ここ2-3年程、自分のキャリアのこれからについて悩んでいます。今現在カナダのバンクーバーで現地のデザインエージェンシー所謂Web制作会社に勤めています。

仕事内容は主にWordPressを使ってのWebサイトの構築、プラグインの導入や設定をして最終的には自社で管理するサーバーにデプロイもしくはクライアントが契約しているサーバーにデプロイといった感じです。 これは日本でWeb制作会社に勤めていた時と仕事内容やワークフローは正直変わっていないです。

役職について

こちらの会社では役職としてフロントエンドとなっていますが、昨今のフロントエンドと言えばReactやVueを使ったWebアプリケーションを制作している方を指すように思えます。こういった部分もギャップがあり自己紹介をする時にどう言えば良いのか悩んだりします。

日本ではWeb制作をしている人をコーダーと呼ぶように思うんですが、それも妙に一致してなくて困る。おそらくWeb制作会社で開発をしている人は、サイト構築やアニメーション、サーバー設定にDNSの設定さらにCDNやCloudflareなどデザイン以外の業務をしていると思います。かと言ってフルスタックもなんか仰々しいなぁと感じます。どうなんですかね、自分だけ?🤔

ロールモデル

Web制作のディペロッパーのロールモデルが居なくて、ある程度経験を積んだ後の道標が無くどのようにしていくのが良いのかなーというのも悩んでいる一つの理由です。そして自分の周りに同じような人が少なく、1年ぐらいWeb制作をしてサクッと他のフィールドへ移ってしまうって感じです。同じような境遇の人が居ないので中々相談したくても難しいなぁと。

キャリアについて

最初に書いてたように、日本でしていた事と変わっていない事とデザインエージェンシーの宿命である受注制作であるために新しい技術への乗り換えやチャレンジが中々承認されない為、別のフィールドに移りたいと思っている。フロントエンドの仕事は好きなので、次は自社開発をしているプロダクト系の会社で少しゆとりがあって新しめの技術スタックを使って開発したいなーとは考えてはいるものの、いまいち踏み込めない。

それは、圧倒的に自分の自信の無さが一番大きな理由。

この自信の無さは次に書くインポスター症候群なのかなと感じています。

インポスター症候群

インポスター症候群とはここ最近いろんな所で見たりするので、割と日本でも知られているのかなと思いますがWikiではこのような概要になっています。

インポスター症候群(インポスターしょうこうぐん、英: Impostor syndrome、インポスター・シンドローム)は、自分の達成を内面的に肯定できず、自分は詐欺師であると感じる傾向であり、一般的には、社会的に成功した人たちの中に多く見られる。 ペテン師症候群(ペテンししょうこうぐん)、もしくはインポスター体験(インポスターたいけん、impostor experience)、詐欺師症候群(さぎししょうこうぐん、fraud syndrome)とも呼ばれる。 Wikipedia

この表現だと直訳っぽくてなんだか合ってないのですが、「主にプロジェクトや目標を達成した際に自分の実力ではなくたまたま出来ただけ、もしくはチームのお陰であり自分は大した事をしていないと思う」、といった自己評価が非常に低いのが特徴です。また他の特徴として、

  • 自分の実力の無さが周りに気付かれてしまう不安
  • 失敗に対する不安
  • 完璧を求めてしまう
  • 他人からの評価を素直に受け入れられない

などがあります。

私的にはどの特徴にも自覚があって、さらに知識の無さから来る「出来ない」などを極力減らしたいという思い込みというかバイアスのようなものがかかり、仕事後や休日も情報収集や実際に手を動かすなどを常にしていて、とても辛かったりします。

じゃあちょっと休めば良いじゃんって感じなんですが一日でもパソコンを触らなかったりすると、「今日は何も出来ていない」、「自分だけ取り残されていってしまう」というような強烈な不安感が出てきます。

また他のフロントエンドの方と話をすると、無意識に自分と比べてしまい、まだまだ知らない事だらけだダメだな自分と感じます。

同じように感じている人は意外と多い?

海外でもインポスター症候群で悩んでいる人は多く、dev.to でも多くの投稿を見かけます。

他にもハリウッドスターの方々も同じようにこの症状で悩んでいるそうです。

コアスキルの有無

もう一つ私には自信が持てない理由として、コアスキルが無いというのがあります。これは所謂自分が一番強いと思っているスキルです。
例えばですが、JavaScriptに関してはあの人が一番仕様に詳しいみたいな感じでJavaScriptがその人が持つコアスキルです。基本的にコアスキルは大体がプログラミング言語を指すと思います。

私の場合はWordPressがコアスキルではあるんですが、WordPressはソフトウェアである事と、WordPressの仕様に詳しい訳でもなくただ人より少し多くプラグインを使っているだけであり、プロジェクトのほとんどがプラグイン前提で制作をするので、コードベースのスキルではなくただの知識であって、ましてやWordPressなど何万というプラグインがあります。コアスキルであるはずですが知らない事の方が多すぎます。

今はとにかくコアスキルを得たくて色々と手を動かしていますが、中々業務時間外で得るのは難しいです。

自己評価と他者からの評価

自己評価は限りなく低いのですが、ギリギリ保つ方法として他者からの評価があります。かと言って口頭で言われるものではなく、給料が一つの評価としての指標になると思います。給料が上がる事は会社で少なくとも良いと評価されているという事になります。

その他に他者からの評価として、何かアワードを得るのも自己評価をあげる事が出来ると思います。Web制作系なのでアワードと言えば、AwwwardsCSS Design Awards, FWA などがあります。こう言った所でアワードを取れれば会社外の人からの評価となるので自信を持つ事に繋がると思います。

インポスター症候群とキャリア

インポスター症候群かどうかはわかりませんが、自分に自信がなく別フィールドに移りたいと思っていても現状経験がないので不安要素しか考えれなくなり、これがストレスとなっているのを非常に感じます。これまでアワードも取ったこともなく、自己評価も非常に低い為、今自分が持っているスキルセットではまだ足りないと感じてしまいます。

少しでも解消するために

これは簡単に克服出来るものでは無いと思いますが、色んな方が克服する方法や考え方などを記事にしていたりします。

昨年、Redux作者であり現在Reactのコアメンバーである、Dan Abramovさんが投稿した 2018年の段階で私が知らないこと が話題になりましたが、この記事でもインポスター症候群についてどんなに経験があっても様々な要因や環境でなったり、克服したりするものと言われています。ダンさんもやはり周りからは色んな事を知っている/出来ると思われていたと思います。

Ryan Florenceさんの自身のインポスター症候群についての ツイート では自分が何かを「知らない」と言える組織やコミュニティ、そう言える関係の中に居るべきで、そうじゃない場合は「出来るフリ」をする事になると述べています。

私自身ではまだ答えというか、どういう事をしていけばいいかわかりませんがこの記事を書く事で自分の中で少し整理が出来たように感じます。これからも色々と悩みながら進んでいくとは思いますが、そう遠くない未来に別のフィールドへ移ろうとは考えています。

Author

Michinobu Nishimoto

記事を書いてる人: 日本とカナダのWeb制作会社で数年間の経験を積んだ後、カナダのスタートアップでフロントエンドエンジニアとしてWebアプリケーションの開発をしている。

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